|
顎が問題?睡眠時無呼吸症候群の意外な原因 |
|
閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の原因として、まず思いつくことは肥満ではないでしょうか。確かに、肥満により首周りの脂肪が上気道(空気の通り道)を狭くし、その結果、夜間睡眠中に上気道が閉じてしまうことが、OSASの大きな要因です。しかし、肥満がないにも関わらずOSASになる患者様がおられます。欧米人のOSAS患者様の多くは肥満が原因ですが、日本人の場合は、OSASの内、約3割の患者様は肥満ではありません。残りの7割の方が肥満を伴っていると言われています。
では、肥満ではない方は、なぜOSASになるのでしょうか?大きな要因は顎の形です。日本人は民族的に元来、上気道の構造が小さいのです。この小さい構造の中で、さらに顎が気道側に後退していれば、ますます上気道を狭窄することになります。また、顎が小さければ、舌根(舌の付け根)が落ち込みやすくなり、上気道狭窄の要因となります。現代人は、食生活の変化で年々顎が小さくなり、後退しつつあります。今後、このような顎が原因のOSAS患者が増加することが考えられます。
下記の顔を横から撮影したレントゲン写真(セファログラム)は、OSAS患者様のもの(左側の写真)です。
この患者様は、肥満はありませんが、無呼吸低呼吸指数(AHI)が36回/時の重症OSASです。黄色の線が上気道の狭窄部位です。起きている状態でこのように大変狭い状況ですので、睡眠中は完全に閉塞していると考えられます。この患者さんは、現在はCPAP治療により、病状は改善しています。
顎が小さい、後退している方は、睡眠時無呼吸症候群の危険をはらんでいます。肥満がなくても注意が必要です。小顔はかっこいいと喜んでいられなくなるかもしれません。いびき・夜間無呼吸・日中の眠気・熟睡感の欠如といった症状があれば、お気軽にご相談ください。
|